2006年7月、中国の医療支援ボランティア団体からの要請を受け、中国吉林省の都市、延吉(ヨンギル)を訪問したDr.HONDA。2回にわたり中国での歯科事情についてレポートしてきましたが、今回はメインである口臭事情に迫ります。


精工歯科は市内でも人気のある大きな歯科医院。設備も整っており、写真からも分かるように非常に清潔感のある院内となっています。院長の金先生は口臭治療に関心を持っておられ、Dr.HONDAの来訪を心待ちにしていたそうです。


院内を一通り視察した後、会議室にてDr.HONDAによる歯科および口臭に対するプレゼンテーションを行いました。口臭発生のメカニズムや対策方法、日本での現状など内容は多岐にわたり、参加者も興味深く耳を傾けていました。プレゼンテーション後、金先生から中国での口臭に対する現状について話がありました。






金先生の話によると、口臭について悩む人は意外と多いとのこと。精工歯科にも相談に来る人が多く、特に低所得者層の悩みは非常に深刻のようです。前回取り上げたように、比較的体臭が強い中国・延吉の人々ですが、歯科治療を受けにくい状況のため口臭も強く、それが周囲の人々とのコミュニケーションを阻害する要因にもなっているのです。


口臭を訴える患者を診療すると、日本や韓国のような自臭症や生理的口臭で悩むのではなく、ほとんどが病的口臭に分類されます。したがって、病気の原因(歯周病や虫歯など)を治療すれば必然的に口臭を完治することができます。しかし、口臭を訴える人々は既に口腔内環境が非常に悪い場合が多く、治療をするにも日数と費用がかかります。ここでも治療費の高さがネックとなっているようです。



歯科を訪問していく中で興味深い発見がありました。一般の病的口臭で悩む人とは別に、歯科医の中に自臭症に悩む人が見受けられたことです。まともな治療が受けられず病的口臭に悩む人々とは異なり、ある程度の生活レベルが維持されオーラルケアは万全、でも自分が臭っているのではと悩む自臭症。このような事実から、自臭症は、ある程度生活レベルが満たされた文化圏で発生する可能性が高いのではないか、ということが推測されました





プレゼンテーションのあと、日本から持参した口臭測定器「BBチェッカー」を披露しました。

BBチェッカーとは、数ある測定器の中でも人間の鼻のような嗅覚レベルで全ての臭気を測定できる機器。測定器メーカーとほんだ歯科との共同開発によって完成した画期的なものです。
人間の感覚を機器で数値化できるという点に多くの関心が寄せられました。

 

 



3回にわたりお伝えしました中国地方都市・延吉レポートはいかがでしたか?これらはあくまでも中国歯科事情の一面にすぎませんが、大都市とは異なる状況があるということは感じていただけたのではないでしょうか?目まぐるしい発達を見せる中国において今後歯科はどのように進んでいくのか。これからも目が離せません。